皆様、こんにちは。
WBC、個人的に超盛り上がっていますが、皆さんはご覧になっているでしょうか。もちろん日本戦が1番気になるところですけど、私がもう1つ気になっているのは、プレーオフ周りのルールの複雑さです。
私はある程度野球がわかるので割と理解するのが早かったのですが、きっと野球がわからない人にとっては何のことだかさっぱりわからないと思うんです。
ちなみに日本対イスラエル戦での元SMAPの中居くんも解説でよくわかっていないような発言をしていましたので、相当難しいんじゃないでしょうか。
ですので、自分が理解するためということも含め少しわかりやすくまとめてみました。
プレーオフの基本ルール
まずは基本的なルールに関して、公式サイトの記述を引用しながら噛み砕いていきます。そのまま引用させていただくと、以下です。
1次ラウンド、2次ラウンドは4チームによる総当たり戦方式で行われるが、3チームが(a)2勝1敗もしくは(b)1勝2敗で並んだ場合、プレイオフを実施する。プレイオフに出場するチームは以下のとおり決める。
・同率となった3チームについて、別途定めた「同率チームの順位決定ルール」に従って順位を決定する。
・(a)の場合:1位チームはプレイオフを戦わず勝ち抜けとし、2・3位チームによるプレイオフを実施する。プレイオフに勝利したチームが次ラウンドへ進出する。
・(b)の場合:4位チームはプレイオフを戦わず敗退とし、2・3位チームよるプレイオフを実施する。プレイオフに勝利したチームが次ラウンドへ進出する。なお、「同率チームの順位決定ルール」は決定し次第、発表する。
更にこちら。
1、同率チームとの対戦で、守備1イニングあたりの失点数が少ない
2、同率チームとの対戦で、守備1イニングあたりの自責点数が少ない
3、同率チームとの対戦で、打率が高い
4、WBCIによる抽選
まず、発生条件は2勝1敗か1勝2敗で3チームが並んだときです。その際に、守備1イニングあたりの失点が少ないチームが上位と判定されます。
これがとても厄介です。ポイントとしては以下です。
- 何点取ったかではなく、何点取られたか
- 1イニングあたり、という計算が必要
- 3チーム内の対戦結果のみから計算
- 計算した結果、2位と3位が対戦する
サッカーなどにある得失点差ではなく、失点数のみを考慮します。
なぜこの方式になっているかというと、野球は延長戦や9回裏を省略する場合があり、イニング数が必ずしも各チームで一定ではないからだと思われます。
揉めたメキシコのケースからルールを把握する
文章だけではわからないので、先日ニュースになったメキシコのケースを例にどこがわかりにくくてどう揉めたのか、どう考えればいいのかを書いてみます。
間違いの例
プールDでは1勝2敗のチームが3チームあり、プレーオフの条件を満たしました。
その際の3チームのスコアは以下のとおりです。
3チーム内の結果のみを考慮するので、残りの1チームのプエルトリコとの対戦結果は除外します。
わかりやすいように色分けしてみました。考慮すべきは失点数なので、相手チームの得点と色が同じになっていると思います。
さぁそれではイニングごとの数値がどうなるのか計算してみましょう。
10回までの延長戦が1試合あり、注意です。残りの試合は9回まで戦っていますので、そこから計算してベネズエラが1番大きな値になりました。
ということはメキシコとイタリアでプレーオフということになります。
と、思うでしょうけど、
これは間違いです。
正解はこちら
何が問題だったのでしょうか。正解を見てみましょう。
ポイントはメキシコ対イタリアの9回裏です。このイニングはノーアウトのまま5点を取ってイタリアが勝ちました。サヨナラの場合はリードした時点で終わりですので、ノーアウトのままゲームセットとなります。
ということで、1イニングとは認められずにこの試合のメキシコの守りのイニングは8回と判断されたのです。超わかりにくいですよね!
これで計算するとこうなります。
メキシコが最下位になった、というわけです。なったというか、本来このルールなのです。
で、こうなりました。
メキシコ主砲、急転敗退に大憤慨「なんてダメな大会なんだ!」 | Full-count | フルカウント ―野球・MLBの総合コラムサイト―
「なんて日だ!」です。
実はこの計算の仕方はピッチャーの投げたイニングの数え方と一緒なんですね。例えば初回から7回2アウトまで投げて交代した投手の実績は6回3分の2と数えられます。
その計算方法でいくと、8回3分の0で、つまり8回となるんです。
アウトカウントで数えるとわかりやすい
もうちょっとだけシンプルに計算しようとすると、こうなります。
取ったアウトの数で計算する、というものです。メキシコの例では最後のイニングが0なので、その分は加算しません。
イニングの部分を取ったアウトの数にしても、もちろん正確な順位が出ます。この場合の失点率は、1アウトあたりの失点という意味合いになります。
まぁ、分数でわかりにくい部分を整数に直しただけなので実質は何も変わってませんけどね。
このルールの問題点
この失点率でのプレーオフ判定は正直欠陥ルールだと思います。確かにチームによってイニング数が違うということが根本にあるので難しいところですが、まず計算がわかりにくくて難しいのは欠点の1つです。延長戦の場合を考慮すると明確な基準を予め出すのが難しくなります。
その他にも欠陥があります。
まず、タイブレークの問題。11回以降はタイブレークで点を取りやすくなるので他のイニングと同じように計算すると不公平感を生じます。タイブレークは別の計算、となれば、それはそれでまたややこしくなります。
それから例えば日本の2次ラウンドのように、失点4点以内であれば負けても準決勝進出決定というケース。ここで9回を3-4の負け状態で迎えた場合、下手に追いついて延長戦で失点を重ねて負けてしまうとプレーオフになってしまいますから、わざと負けるために無気力試合をする可能性を生じてしまいます。
例えレアなケースであろうと、このような可能性を残したルールは明らかに欠陥ルールなのではないでしょうか。
このあたりは里崎氏も取り上げています。
WBC失点率決着が真剣勝負に水を差す?/里崎智也 - サトのガチ話 - 野球コラム : 日刊スポーツ
WBCがいつまで持つかわからないですが、せっかく4年に1度の大会ですから、ルール部分で揉めないように考えてもらえるともっとよい大会になると思います。
まとめ
プレーオフのルールについて複雑な部分を自分なりにまとめてみました。また、問題点についても挙げました。
少しでも野球に興味を持つ人が増えて、今後国内の試合でも野球界全体が盛り上がるようになるとファンとしては嬉しいです。
最後までご覧いただきありがとうございます。
んだば、まだ。